ストラヴィンスキー 「ペトルーシュカ」からの3楽章
- ポリーニ(DG<72>)(2:32/4:18/8:27)◎ ジャケット
あまりにも有名なポリーニのDGデビュー盤。どこまでもインテンポ、輝かしく明晰な音、疲れを知らない強靭な技巧と、聴いてるこちらが疲れてしまうくらい。この録音は実は継ぎ剥ぎだらけと言っていた人もいたが、真偽のほどは…?(だとしてもこの盤の価値が減るものではないが)。
- ワイセンベルク(EMI<65頃>)(2:35/3:51/8:09)◎
ローティー盤を聴くまではこれとポリーニが双璧だと思っていた。例によって非常に歯切れのよい(かつ機械的な)演奏で、その分キレはポリーニより上かも。当時のワイセンベルクの凄さがわかる。第3楽章でちょっと苦しさを感じるところもあるがテンポ設定が速いからしかたないかも。残念ながら録音はあまりよくないが、かえってそれが私には(ポリーニのような)聞き疲れを感じさせない。
- ロルティ(Chandos<88>)(2:42/4:57/8:50)◎
非常に音楽的な演奏。難しさだけがクローズアップされるこの曲でこれほど「音楽」を聞けるのはなかなかない。と言うと技巧がイマイチのように聞こえるが、そうではなく技巧に余裕があるので曲の難しさをあまり感じさせない。勢いで弾くのではなく、よくコントロールされており、音楽を支えるための「技巧」になっている。
- G.チェン(ProPiano<98>)(2:29/4:37/9:21)◎
とにかく生きがいいというか、みずみずしいというか、タッチが(多少叩き付けるところがあるが)溌剌としている。技巧的にもハイレベル。機械的な正確さよりも、自発性や勢いを大切にしている感じ。そういう意味では(同じ女性ということもあって)アルゲリッチをちょっと思い起こさせる。本来、勢いに任せて弾くような演奏はあまり好きでないのだが、そんなことを言わせないような魅力がある。細部で完成度を上げる余地はまだあると思うが、そもそもそういう細かいところで勝負していない気がする。
- ブロンフマン(CBS<90>)(2:29/4:29/8:47)○
1回試聴しただけだが、悪くない。だがポリーニやワイセンベルクを超える何かがあるかと言われると…。
- ブレンデル(Vox<55>)(2:31/4:52/9:02)△
残響過多の録音のせいもあるが、細部にもう少しクリアさ・緻密さが欲しい。演奏自体はそれほど悪くないのだが、かと言ってキラッと光るような部分もなく、積極的に推せるほどではない。
- ディヒター(Melodiya<66>L)(2:43/4:38/9:00)△
'66チャイコフスキーコンクールライヴ。ライヴにしては(録り直しがきくスタジオ録音でさえここまで弾けない人が多いことを考えると)なかなか健闘している。テンポが走ったり、苦しまぎれのルバートがあまりないのは立派。でも完成度の高い他のスタジオ録音に比べると見劣りするのはしかたないか。ちなみこのとき彼は第2位。
- ベロフ(EMI<79>)(2:28/4:20/8:25)△
全体的にちょっと苦しいというかぎこちない。インテンポがキープできず、微妙にテンポが揺れるところもある。音もやや鍵盤を叩きすぎというか、美しくない(技巧が完璧ならばそれでも許せるのだが)。
- トカレフ(Musik Leben<98>)(2:27/4:12/8:18)△-×
音に張りがあり、どんな和音の強打でも音が濁らないのは彼の長所だろう。ただ、しっかり打鍵することに気を遣っているからかどうかは知らないが、しばしばリズムにわずかなタメを作るため音楽の流れがとぎれるところがある。インテンポで弾き切る技量がまだ不足している感じ。細部で怪しいところもある。
- ペンティネン(BIS<84>)(2:54/4:58/9:30)×
全体的にかなり遅めのテンポだが、それでもしっかり細部まで弾いているとは言えないのがつらいところ。なにか弾くのが精一杯という感じがしないでもない。録音がやたらにライヴ(多残響)で曲にマッチしていない気がする。
- リンガイセン(Ades<77>)(2:36/4:20/8:14)×
部分的には技巧のキレを見せるが、全体的には指の勢いにまかせた演奏という感じ。テンポも、音楽的に考えたというより、ここまで速くしても弾ける、という風に決めたみたいで、部分部分によって恣意的に変わる。走ってしまうことも多い。細部の磨きというか丁寧さが足りない。
- カーメンツ(Primavera<94>)(2:43/4:56/8:49)×
全体的に平凡。ローティーのように音楽性を重視した行き方をしているようにも見えるが、技巧がイマイチで成功していない。細部で怪しいところが結構ある。併録のシューマン「謝肉祭」はなかなかいいのだが…。
- M.モギレフスキー(fontec<89>L)(2:32/4:09/9:04)×
'89日本国際音楽コンクールライヴ。コンクールでは佳演だったかもしれないが、こうやって冷静に聴けば凡演。確かに音の「勢い」はあるかも知れないが、細部は怪しいというかちゃんと弾けてないところも多い。ハイライトCDだが、果たしてこの曲を収録するのは彼にとって名誉になったかどうか。ちなみこのとき彼は第6位。
未記入盤
- ラーンキ(Teldec<79>)(2:29/4:24/8:38)
- J.スワン(Hunt<>L)(2:40/4:51/9:04)
- トラーゼ(EMI<86>)(2:37/4:38/8:30)
- トレプシェスキ(EMI<2001>)(2:49/4:39/9:48)
- ル=ゲ(accord<2001>)(2:49/4:59/9:13)
- チェルカスキー(aura<63>L)(2:42/4:00/9:24)
- A.シュタルクマン(Divox<95>L)(16:22)
- W.Y.シェン(Cypres<2003>L)(17:00)2003年エリザベートコンクールライヴ
- アニクシン(Bel Air Music<2001>)(2:34/4:41/8:26)
- W.Y.シェン(Cypres<2003>)(2:53/5:11/9:04)
- キーシン(RCA<2004>)(2:30/4:48/8:21)(ブログ記事)
- A.ヴォロディン(ABC<2002>)(2:47/4:34/9:08)(ブログ記事)
- カバッシ(Arte Nova<2004>)(2:49/5:32/9:09)(ブログ記事)
- エル=バシャ(Triton<2006>)(2:44/4:26/8:50)(ブログ記事)
- コレッソヴァ(ABC<2008>L)(2:29/4:15/8:30)(ブログ記事)
- 高田匡隆(fontec<2009>)(2:51/5:25/9:35)(ブログ記事)
- Baryshevskyi(Naxos<2009>)(2:45/4:43/9:08)(ブログ記事)
- ユジャ・ワン(DG<2010>)(2:30/4:16/8:37)(ブログ記事)
- F.ケンプ(BIS<2010>)(2:29/4:44/7:55)(ブログ記事)
- ポワザ(Ars<2013>)(2:39/5:04/9:14)〇
- ホロデンコ(HMF<2013>L)(2:39/4:11/9:16)
- ブニアティシヴィリ(Sony<2015>)(2:27/4:10/7:52)△
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