ところで今日は(多分授業の一環として)小学生が大挙して(100人以上)見学にきていた(1次始まって以来の客の入り!)。 聴いたのは最初の休憩までの3人の演奏だけだったが、それでもちょっと異様な光景。 でも事前によくいい聞かされていたのか、私語もなく非常に行儀良く聴いていた。 それにしても開演10分前くらいに入ってきて空いた席にすわったのだが、それでもほとんど全員固まって座れるというのが1次での客の入りを表している…(笑)。
***
7.ジェーン=ミネッテ・シリアーズ(南アフリカ、26歳、女性)
J.S.Bach: 第1巻変ロ短調 Beethoven: ソナタ第24番 Rimsky=Korsakov/Rachmaninov: 熊蜂の飛行Bachは優美でそれでいて強くすべきところは強くするなどツボを押さえた演奏。まずまず悪くない。 Beethovenも第1楽章でもう少し粒立ちをはっきりさせた方が好みのところもあったが、やはり優美で悪くない。 第2楽章もやはり表情豊かでかつ技術的にも安定。 タッチが機械的にならない。 最後の熊蜂も表情のつけ方、強弱のつけ方が上手い。 よくあるような、指回りを誇示するだけの演奏になっていない。
12.ドゥ・ジン(中国、20歳、女性)
J.S.Bach: 第1巻嬰へ短調 Haydn: ソナタHob.XVI-52 第1楽章 Chopin: バラード第4番Bachのプレリュードはストレート系。飛び跳ねるようなタッチで元気がよい。 フーガも比較的小細工のない音。でも感じは出ている。安定感もある。 Haydnはやや響きが多めだが指回りは非常によい。 強弱の変化も自然でツボを押さえている。 個人的には(グールドのような)カラっとした方が好みだが、これはホールエコーのせいもあるだろう。 彼女も完成度が高い。模範的演奏と言える。 Chopinも優等生的というか型にはまった演奏だが悪くない。 アゴーギクもツボを押さえているし和音もきれいに響く。 あと望むとすれば個性、ファンタジー、魂の自由な飛翔というところか(多少ハメをはずしても)。
71.ツン・キンワイ(中国、26歳、男性)
J.S.Bach: 第2巻嬰ト短調 Beethoven: ソナタ第32番 第1楽章 Liszt: 超絶技巧練習曲第10番Bachのプレリュードは速めのテンポでキビキビして悪くない。 強弱やアクセントも生きている。 例によってホールエコーでモゴモゴ聞こえるのが残念だが。 フーガは一転してゆったりした優しい音。アーティキュレーションも変化をつけてよく考えた演奏。 この曲は長くて単調になりがちだが飽きずに聴き通せた。(この曲のためだけでもCDを買ってもいいくらい。) 次のBeethovenも、序奏で音をよく聴いて弾いている。 主部でもわりと落ち着いたテンポだが、もう少しスピード感があってもよいかなと思う。リズムが少し重い感じ。(畳み込むようなアチェレランドもある程度必要。) 展開部のトリルの処理にも向上の余地あり。 最後のLisztは出だしの交替和音が非常にクリア(こういうのは音コンでは聴いたことがない)。 音楽的で技巧も十分。 やはり相当の実力の持ち主である。 彼も2次へ進めるだろう。
(しかし今日は始めから3人とも良い…。)
89.フランチェスカ・ヴィダル(イタリア、15歳、女性)
J.S.Bach: 第2巻二短調 Beethoven: ソナタ第23番「熱情」第1楽章 Chopin: スケルツォ第2番今回2人いる15歳の出場者の1人である(もう一人は昨日のリ・ヒョ ジョ)。 Bachのプレリュードはメチャ速いテンポでアグレッシブ。 でもメカニックは安定しており、15歳らしいと言えるかも。 フーガはゆったりとしたテンポで弱音がよくコントロールされている。 音色や強弱の変化がはっきりしていてわかりやすいといえばわかりやすい。 テンポも安定していて技術的には問題なし。 Beethovenは15歳という年齢を感じさせる演奏(先入観を持ちすぎかな)。 わりとストレートな解釈で微妙なアゴーギクや間をあまり入れないで、インテンポ感がある。 テクニックはしっかりしていて、こういう演奏も嫌いでないが、それならば前回のティン・イーリンくらいに極めれば面白かったかな(でも彼は1次で落ちたんだよね)。 しかし昨日のリと同様、15歳でここに出てくるだけあって技術(メカニック)は優れている。 最後のChopinも速めのテンポで停滞することがなく、爽快感がある。 音も硬質できれい。 中間部の終盤などもテンポが速く、右手の急速な走句がよく聞きとれないほどだが、多分ちゃんと弾けている。 この爽快感は魅力というか、ちょっと体育会系が入っていて聴いていて面白い(不謹慎な言い方だがちょっと笑える)。
66.セルゲイ・サロフ(ウクライナ、21歳、男性)
J.S.Bach: 第1巻嬰ハ短調 Beethoven: ソナタ第7番 第1楽章 Balakirev: イスラメイ長身で、長い後ろで髪を縛っており、遠目ではセイン・カミュっぽい。 Bachはしっとりして表情がついている。これはやりそうである。 Beethovenは低音が充実している(ちなみ彼も珍しくSteinway)。 右手は軽やかなタッチでメリハリがある。 技術的にかなりポテンシャルを感じる。 かなりの実力者だろう。 ('97,'98年とブゾーニコンクールのディプロマのようだが、入賞者でもたいしたことがない人がいることを思うと、ディプロマ止まりなのが不思議なくらい。) 最後のBalakirevは最初の方でホールエコーのせいか音の分離がもうひとつだったが、スケールが大きい。 ダイナミックレンジが広く、音に余裕がある。 水準以上であることは確か。
55.大西真由子(日本、25歳)
J.S.Bach: 第1巻ハ長調 Beethoven: ソナタ第3番 第1楽章 Rachmaninov: 音の絵Op.39-5'96年に音コン3位だった大西さんである。見るのはそれ以来だが、相変わらず健康的な体型である:-)。 Bachのプレリュードは表情はわりと少なめだが弱音がよくコントロールされている。まずまず。 フーガも落ち着いたテンポで感じが出ている。丁寧である。 最初の方のフーガの入りでちょっとミスったのが惜しい。 Beethovenは真面目で重厚、教科書的(良くも悪くも)。完成度は高いがちょっと堅苦しい感じもする。 (日本人はどうもこういう演奏が多いような気がする。これもお国柄なのか。) Rachmaninovも悪くないが、音色にもうひとつ魅力を感じない。 ゆったりとしてテンポでしっかり音を出そうとする姿勢がうかがえるが、フォルテの強打が力一杯という感じで上に飽和している感じ。 悪くはないというか立派な演奏なんだけど、(公平に言えば)私向きではないというところか。
19.アレクサンダー・ヤコビッゼ=ギットマン(ロシア、19歳、男性)
J.S.Bach: 第2巻イ短調 Mozart: ソナタ第17番K.576 第1楽章 Chopin: エチュードOp.25-10写真より若く見える(というか年相応で、写真がちょっとふけている)。 Bachのプレリュードは速めのテンポで割とあっさり。軽いタッチで悪くない。 フーガも主題があまり激しくない。(このフーガは主題の最初の4音を思い切り弾く人が多いが、却って新鮮。) 落ち着いたテンポだがリズムが生き生きしてよい。うまく力が抜けている。 Mozartも昨日のアンナ・ハーニナよりよい。すっきりしている(上品系)。 (コンクール歴がないので多分オーディション合格組なんだろうけど、やっぱりロシアにはこういう人がゴロゴロいるんだろうな。) Chopinは出だしが曖昧でもうひとつだったがその後はスピード感もあってまずまず。 中間部もすっきりしていてもたれない。 しかも歌っていてセンスを感じる。 スケールよりも美音を大切にしているようである。 最後の和音のあと変な音を出した(ぶつけた?)のが惜しい。 (それにしても今日はこれまで明らかに駄目という人がいない。)
61.イリーナ・ポポーヴァ(ロシア、22歳、女性)
J.S.Bach: 第2巻ロ長調 Beethoven: ソナタ第2番 第1楽章 Liszt: ハンガリー狂詩曲第10番背の高そうな女性である。 Bachのプレリュードはしなやかで表情をよくつけている。途中ちょっとミスって危なかった。細かい音型でもう少し明晰さがあるともっとよかったかな。 フーガはゆっくりしたテンポで弱音がよくコンクールされている。主題がよく響き、しかも歌っている。 曲がいいこともあるが、このフーガだけでも繰り返し聴きたい感じだ。 (ちなみに彼女もコンクール歴がなく多分オーディション組。) Beethovenは多少ミスが多め(つーか他の人が少なすぎ(笑))だがツボを押さえた演奏。 テンポがせくような感じがあることが気になるといえば気になる。 Lisztも昨日のタチアナ・チトーヴァより最初のスケールのパッセージがきれい。 途中で少しぎこちないところもあったが美音が魅力。 さらにスピード感(畳み掛ける感じ)があれがもっとよい。
60.アレクサンドル・ピロジェンコ(ロシア、21歳、男性)
J.S.Bach: 第2巻ロ長調 Haydn: ソナタHob.XVI-46 第1楽章 Liszt/Horowitz: スケルツォとマーチ彼も'99年、'00年とプロコフィエフコンクールをはじめとして3つの国際コンクールに上位入賞していて、少し期待できそう(曲もHorowitz編曲物を弾くようだし。なぜかプロコは1曲も弾かないようだけど)。 メガネをかけて一見真面目なエンジニア風である。 Bachは前の人と同じ曲だがノンレガートを多用したアーティキュレーションが面白い。 (Bachはこのように解釈の多様性があるから楽しい。それにしても彼のは個性的だけど。) フーガも速めのテンポで細かい動きがやはりノンレガート。 悪くない。 Haydnはあまり聴きなじみのない曲だが指回りが安定。 羽根のように軽やかで繊細な音。かなりの技術を持っている感じ。 (やはりコンクール歴は伊達でないようである。) しかしこれだけ次から次へとよい人が出てくると(誰かは落ちるわけで)惜しいというか勿体ない。 最後のLisztは最初の数パッセージを聴いただけでメチャ上手い!。 (好きなLisztものということもあるが)ここで既にCDを買うことを決めた。 その後はただ聴き入るばかり。終わったときは後ろの方でブラヴォの声も。 今日はサロフがすごいと思ったがさらにその上をいくテクニシャンである。 やはりロシアにはすごい才能がたくさん眠っているようだ。 (私の中では)一躍優勝候補に踊り出たという感じ。 ちなみにCDは結局抽選に漏れて買えなかったが、知り合いの方にMDに録音してもらうことにした(これまでもよくやっている)。
48.ハイク・メリキャン(アルメニア、19歳、男性)
J.S.Bach: 第2巻変ロ短調 Mozart: ソナタ第17番K.576 第1楽章 Liszt: ハンガリー狂詩曲第6番線の細そうな体つきの男性である。 Bachはすっきりしていて(聴き疲れしない弾き方)まずまず悪くない。 前のピロジェンコの余韻がまだ残っていることもあって特に印象に残るほどではないけど。 Mozartも軽いタッチで悪くない。技術は持っている。 淡々としていてやや押しが弱いかもしれない。 Lisztは前半部分でやや音が濁るのが惜しい。 またリズムが少し重く、もっと飛び跳ねる感じを出した方がよいかも。 一本調子なところもある。 問題の連続オクターヴはまずまずなのだがスピード感がもうひとつ。左手もやや弱い。 少しミスもあり、鮮やかな技巧という感じではない。
42.ディミトリー・レフコヴィッチ(ウクライナ、21歳、男性)
J.S.Bach: 第2巻ト短調 Mozart: ソナタ第9番K.311 第1楽章 Chopin: ソナタ第2番 第1楽章写真ではジャニーズ系の少年という感じだが実物はもっと大人っぽく(背も高い)かなり違う。 金髪で髪がやや長く、上方を向いて弾いている横顔はどこかLisztを思わせる。 Bachのプレリュードはゆっくりめのテンポだが割とストレートな音で細工が少ない。 フーガはテンポが速いがタッチが少し粗い(不安定)。洗練されていない。イマイチである。 Mozartは(Bachを聴いてどうなるかと思ったが)意外とそれほど悪くない。 指回りもまずまず。 ただもう少し強弱などに変化をつけた方がよいと思った。 Chopinは第1主題や展開部で勢いというかせかされるようなスピード感があるが、音の出し方が少し雑な感もなきにしもあらず。 何か憑かれたような落ち着きのない演奏だが(そういう曲だけど)、丁寧なだけでリズムがもっさりしている演奏(日本人にありがち)よりはいいか。 でも彼は資質がロマン派に向いていそうである。
69.ジャン=ファビエン・シュナイダー(フランス、21歳、男性)
J.S.Bach: 第1巻変ロ短調 Beethoven: ソナタ第11番 第1楽章 Liszt: マゼッパBachはいずれもまずまず(それにしてもこの曲は浜松コンでは人気があるなぁ。もう何回聴いただろう)。 もちろんモロゾフほどの繊細さ(というか神経質さ)はないが、必要なニュアンスも含まれていて音もよくコントロールされている。 Beethovenはスピード感があり、もっと丁寧にした方がよいかと思うところもないでもないが、悪くない。 ただ出だしの音型がもうひとつクリアでないのが惜しい。 Lisztもスピード感があり、多少ミスはあるのは惜しいが水準以上の技巧を持っていることは確か。 緩徐変奏もあまり遅くしない。後半の6/8のところをかなり弱音で弾くのがちょっと変わっている(そこで少し危ないところもあった)。 その後の2/4のところをフォルテにして対比をつけるのがなかなか効果的。 これでミスがもうちょっと少なければ(好きなマゼッパということで少々甘いかもしれないが)CDを買うところだ。 彼もまた2次で聴いてみたい人である。
15.アレクサンダー・ガヴリリュク(ウクライナ、16歳、男性)
J.S.Bach: 第1巻ト長調 Mozart: ソナタ第10番K.330 第1楽章 Liszt: タランテラ'99年のホロヴィッツコンクール(と他の国際コンクールでも)で優勝しており、彼も期待できそうである。 (3次ではホロビッツ編曲物も2曲弾く予定。) なかなか甘い(かわいい)マスクの持ち主。 Bachのプレリュードを聴くと、これは期待通りにやりそう。技術的に安定している。 フーガも落ち着いたテンポながらタッチが非常に安定しておりかなりよい出来。 トリルの入れ方が上手い!。 Mozartも軽やかなタッチで、軽い中にもタッチが安定していてまさにMozartに理想的。 装飾音、トリルも完璧。 文句をつけるところがない。 (音コンの前田君もこう弾ければ大丈夫だったかも…。) 最後のLisztも悪かろうはずがない、というより予想以上に素晴らしい。 主題の同音連打がかなり速く、スケールも大きい(ダイナミックレンジが広い)。 しかも歌心があり、個性も出ている。非のうちどころがない。 これまで(CDを含めて)聴いたタランテラの中でも最高の部類に入る。
43.イム・ドン ヘ(韓国、16歳、男性)
J.S.Bach: 第2巻ト短調 Mozart: ソナタ第5番K.283 第1楽章 Chopin: スケルツォ第2番彼は急病で(本当は今日の2番目だったのを)最後に変えてもらったそうである。 大丈夫か少し心配。 Bachのプレリュードの出だしを聴くと、大丈夫そうである。変化もあって聞かせる。 フーガは細かい動きが非常に安定している。 彼もかなりの実力者だ。 この曲の演奏としてはかなりいい部類に入る。 急病の影響はまったく感じない。 Mozartは軽やかな音で技術的にも極めて安定。 こういう弾き方ができる人がロシアにはたくさんいるんだなと思う(彼はモスクワ音楽院)。 最後のChopinも模範演奏。完成度が高い。 しいて言えば中間部で内声部をもっと強調した方がよかったかな(カツァリスほどやれとは言わないが)。 あと望むとすれば個性、何かやってくれるのではと期待させるような魅力であろうか。
***
というわけで1次の最終目を聴き終えた。 今日聴いた中では
セルゲイ・サロフ アレクサンドル・ピロジェンコ アレクサンダー・ガヴリリュクが非常に良かった。特にピロジェンコとガヴリリュクは凄いテクニシャンで圧倒された。 あと
ジェーン=ミネッテ・シリアーズ ドゥ・ジン ツン・キンワイ アレクサンドル・ヤコビッゼ=ギットマン イリーナ・ポポーヴァ ジャン=ファビエン・シュナイダー イム・ドン ヘも2次に行く資格が十分にあるという感じである(ほとんど全員…)。 というか今まではなんだったんだと思うほど、よい人が最終日に固まっていた気がする。(1、2日目は聴いていないけど。) そのほかフランチェスカ・ヴィダルや大西真由子さんも決して悪いわけではない。
予選の後半3日間を聴いて、最初はどうかと思ったが最終日まで聴き終えれば、やっぱり今回も前回に負けず劣らずレベルが高い。 今回の特徴として、バリバリと技巧で押すタイプが割合少なく、結構リリシストというか軽やかにセンス良く聴かせる人が多い感じがした。 ピロジェンコとガヴリリュクも相当のテクニシャンであるが去年のマツーエフのような力で押すタイプではなく、どこか品がいい。 ストレート系でグイグイと弾くタイプはアミーロフくらいか。
***
で、実際の2次進出者は以下の25名(1次予選での演奏日ごとに示す)。
第1日: 菊地裕介 ソン・シフェン エヴゲニー・チェレパノフ エヴェリーナ・ボルベイ 第2日: オルガ・ケルン マリアンジェラ・ヴァカテロ 奈良希愛 フレンク・ヴィジ 第3日: パク・ジョンファ タチアナ・ミチコ アミール・テベニヒン ヴィヴ・マクリーン マリア・キム 第4日: 上原彩子 ポン・ボー リ・ヒョジョ フョードル・アミーロフ イディシャー・サヴィトスキー 鈴木弘尚 第5日: ジェーン=ミネッテ・シリアーズ イム・ドンへ 大西真由子 イリーナ・ポポーヴァ アレクサンドル・ピロジェンコ アレクサンダー・ガヴリリュクいい人がたくさん落ちてしまったなと思ったら、よくみると前回は2次進出者が37名だったのに対して、今回は25名になっている(2次での各人の演奏時間が増えたためであろう)。
残念なのはドミトリー・カプリン、セルゲイ・サロフが落ちたこと。 特にカプリンはCDで繰り返し聴いているが、やっぱり良い。(生で聴いているときよいと思ったのに、あとで落ち着いて録音で聴くとアレ?ということは結構ある。ちなみにレポートはそのような後での印象は加味せず、基本的にリアルタイムの印象だけを書いている。) 他にも落ちて残念な人はいるが、それは人数枠があるので(しかも実力的に拮抗している人が多いので)ある意味しかたがないが、それよりむしろ、その貴重な枠に「この人がねぇ…」みたいな人が入っていることの方がやるかたない気分になる。
日本人は全部で5人残っているが、これでも私から見ると甘い感じ(私が日本人に厳しすぎるのかな)。 「ホーム有利の判定」もあるだろうが、私が日本人の演奏に聴き慣れて(聴き飽きて)いるため外国人の演奏に新鮮さを感じるのと同じように、外国人の審査員は日本人の演奏(真面目で丁寧)に新鮮さを感じるのかもしれない。隣の芝生は青い。