第4回浜松国際ピアノコンクール本選第1日(11/22)のレポートです。 本選は協奏曲。バックは大友直人指揮の東京交響楽団である。

4.ラファウ・ブレハッチ(ポーランド)

  Chopin: ピアノ協奏曲第1番
(今回から名前の表記が「ラフアゥ・ブレチャッチ」から「ラファウ・ブレハッチ」に変わった。 多分こちらが本当の発音に近いのだろう。) 演奏はよくまとまっているし、技術的にも高度に安定している。音がきれいでセンスもある。 が、ちょっと大人しいというかこぢんまりしている感じもある。 もう少しミエを切ったり、ガツンと決めたり、たっぷり歌うなどメリハリがあってもよいかと思う。 特に、低音(左手)はもう少し強く出してもいいのではないかと思うところがいくつかあった。 第2楽章の自然な呼吸での歌い方などセンスのよさは随所で感じるのだが、彼のよさはコンチェルトよりもソロリサイタルの場でより生きるのかもしれない。


78.鈴木弘尚(日本)

  Tchaikovsky: ピアノ協奏曲第1番
強弱、音色、緩急に微妙な変化によりかなり表情を付けている。(ちょっと臭くなる手前とも言えそう。) ただ技術的には無骨。ミスが結構多くちょっとハラハラする感じもあった。 第2楽章の中間部の細かい動きのところは細部まではっきり聴こえない(誤魔化し気味に聴こえる)し、 終楽章の主題もクリアに聴こえない。 またフォルテ和音で音が美しくない(割れる)は今までの通り。叩きつける感じになりがちである。 終楽章コーダのダブルオクターヴもアゴーギグを結構つけて個性的。(ただこのアゴーギグのせい?で、オケと合わない場面もちらほら。) 全体的に、3次で見せた疲れをまだ引きずっているという印象を受けた。


69.関本昌平(日本)

  Tchaikovsky: ピアノ協奏曲第1番
出だしは緊張からか音楽が直線的というか弾き急ぐ感じがあったが、弾き進むにつれてノッていく。 技術的には鈴木君よりずっと安定している。 ただし細かい表情はあまり付けないので、(鈴木君の後だと)素っ気ないという印象を受けるかもしれない。 フォルテ和音でも音割れがないので聴きやすい。(音の深みはあまり感じないが。) 第2楽章の中間部も鈴木君より指がよく回っている(ただオケとずれるところも)。終楽章の主題もきれいに弾けている。 ただ終楽章第2主題でもインテンポ気味であまりアゴーギグをつけないのはちょっと素っ気無いか。 しかし全体的には鈴木君よりよい出来だったであろう。


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本選第1日を聴き終えた。 全体的な印象としては、ブレハッチはよくまとまっているが(こちらの期待が大きすぎたせいか)ややインパクトが弱く、鈴木君は3次の不調?をまだ引きずっている感じ、関本君は(鈴木君との比較のせいで)よりよく見えるという感じであった。 inserted by FC2 system