第6回浜松国際ピアノコンクール3次予選第2日(11/22)の感想です。 (3次の最終日なので結果もあります。)

実は今日も体調がイマイチだった(しかも1日目の感想を書くために早起きしたせいか今日は聴いていて眠かった)ので全体的に感想はシンプルになっています(^^;)。

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50. LIM Hyo-Sun

 Mozart: ソナタK576
 Ravel: 水の戯れ
 Prokofiev: ソナタ第6番
彼女は1次、2次両方を聴いてその良さが理解できなかった唯一の人。 Mozartは端的に言うと悪くはないが余り胸に響かなかった。昨日のTavernaの方が溌剌感があったように思う。 Ravelはあまり印象に残らず。 Prokofievは特に第1楽章で、指の力が弱いのか、全体に音が弱い。Nadzhafova嬢と逆に「音力(おとぢから)」に乏しいというか。 これなら今年の音コンの3次で聴いた演奏の方が印象に残る。 終楽章も技巧にもうひとつ強靭さが足りない。 というわけで1,2と印象は変わらなかった。


43. Sergey KUZNETSOV

 Gubaidulina: シャコンヌ
 Scriabin: 左手のための夜想曲Op.9-2
 Scriabin: ソナタ第3番
 Mozart: アレグロ変ロ長調K400
 Ravel: 夜のガスパール
Gubaidulinaのシャコンヌは聴くのはこれが初めてかも。無調に近いがビート感があってなかなか面白かった(演奏もきっと優れているのだろう)。 Scriabinの左手は聴かせる。ソナタも(この辺り実はうつらうつらだったが^^;)ポリフォニックでよかったと思う。 Mozartも速めのテンポで軽快なタッチ。でもニュアンスに富んでいる。 Ravelは特別な凄みはないが好演でChunの2次と甲乙付けがたい感じ。 全体としては3次も2次に続いて好調のようである。


61. Dinara NADZHAFOVA

 Mozart: ソナタK330
 Taneev: 前奏曲とフーガ
 Tchaikovsky: ノクターンOp.10-1
 Chopin: エチュードOp.10
Mozartは強弱の付け方が結構大きく、やや自然さに欠けるというかワザとらしい気がして、個人的にはそれほど好きではなかった。 Taneevは実はこれも半分寝てました(^^;)。 Chopinは昨日のChunのOp.25と比べると全体的に個性的な表現が多い。速さ一辺倒とか強さ一辺倒ではなく、ときには落ちつたテンポで面白い表情を付けたり(10-5)、ゆったり感を出しながらタッチの変化を付けたり(10-10)、繊細な音で攻めたり(10-8)といろいろ独自性を出している。 ただオーソドックスではないだけに好悪を分けるかもしれない。また彼女にしては割とミスも多めかも。


40. 北村朋幹

 J.S.Bach: イギリス組曲
 Mozart: ソナタK333
 Sibelius: 5つの小品Op.75
 Schumann: 花の曲Op.19
 Schumann: ウィーンの謝肉祭の道化芝居
イギリス組曲はプレリュードはともかくアルマンドはやや単調(アゴーギク、音色など)。 音もやや硬い気がする。 それに比べるとMozartの方がよかった。 音色の変化は相変わらずないが、歌い回しが自然。ただ第2楽章はやはり単調でちょっと退屈した。 終楽章では途中加速したりと結構好きにやっていた(が悪くはない)。 最後のSchumannは苦手な曲かつ半分眠っていた(^^;)のでよく覚えていないが、やはりもう少し音色の変化が欲しい気がする。


90. Slawomir WILK

 Mozart: ソナタK280
 Rachmaninov: 前奏曲Op.23-4,5,6
 Paderewski: ソナタ
Mozartは骨太な音で低音が充実。細かなミスはあったがよくツボを押さえている。 特に第2楽章での音色がよい(北村君との違い)。 Rachmaninovの23-5は力強いがミスが結構多く、イマイチな出来。 Paderewskiはよく知らない曲でコメントできないが、演奏は悪くなかったように思う。 30分を超える熱演で、終わったときはお疲れ様といいたくなった。


70. Nikolay SARATOVSKY

 Mozart: ロンドニ長調K485
 Rachmaninov: 音の絵Op.39-1,3,4,8,9
 Liszt: メフィストワルツ第1番
 Stravinsky: ペトルーシュカからの3楽章
Mozartはテンポが速く軽快。指が気持ちよいほどよく回っている。 Rachmaninovも好演。全体的にややくぐもった音で少しヌケが悪い気もするが、ロシア的なスケールの大きさと(特に39-9で)深々とした響きがある。 テクにスケールがあるのだが、あまり無理をせず余裕を持って弾いている感じがよい。ただ(2次の謝肉祭でも感じたが)曲の中の部分によってもう少しタッチを変えたり表情の違いを作るなどするとよいのではないかな。 Lisztも予想通りのスケールの大きい演奏。ただ重音トリルはちょっと怪しかったり、終盤の跳躍のところはノーミスとはいかなかったりと、まだMatsuevの域までには達していない感じ。 Stravinskyは出だしのテンポが速かったが、荒い。ミスもかなり多く、人によっては弾けてないというかも。というか個人的にはまだ人前で披露する段階ではないと思った(今日は特に調子が悪かったのかもしれないが)。ただスケールは大きく、このスケールでTaverna並みの精度があれば凄い演奏にはなる。 全体的には彼はまだ「原石」の段階という印象である。


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というわけで3次の2日目を聴き終えたわけだが、本選でも聴いてみたいと思ったのは

 43. Sergey KUZNETSOV
 61. Dinara NADZHAFOVA
の2名。全体的にはやはり昨日よりやや低調だった。

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3次トータルとしては、1日目の6人に上の2人の加えた8人の中から本選進出者が出れば個人的には納得がいくところ。 その中にHuangci嬢が含まれていれば嬉しいのだが。
実際問題としては、恐らく1、2日目からそれぞれ3人と均等に選ばれ、また日本人も選ばれると思われる。 それを考慮しての私の本選予想(注:私の希望ではない)は

 26. Clare HUANGCI
 87. WANG Chun
 82. Alessandro TAVERNA
 43. Sergey KUZNETSOV
 61. Dinara NADZHAFOVA
 40. 北村朋幹
の6人。あるいはWANG Chunの代わりにKIM Tae-Hyung。 GorlatchとCherepanovは昨日も書いたように厳しいと予想してのことである。

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そして実際の結果は以下の通り。

 87. WANG Chun
 19. Alexej GORLATCH
 37. KIM Tae-Hyung
 43. Sergey KUZNETSOV
 40. 北村朋幹
 70. Nikolay SARATOVSKY
というわけで私のイチオシのHugangci嬢は落ちてしまった(;;)。 意外だったのはSaratovskyが通ったこと。あのペトルーシュカで通るのか…。
それでも、3人ずつ均等、日本人が入る、というのは当たっており、私もだいぶ浜コンに通じてきたか(笑)。 日本人枠(?)は1名で、前々回並みに戻ったはまあよい傾向かもしれない。

Huangci嬢が落ちたのは非常に残念だが、3次のCD(当然購入)を聴いてみると、生では気が付かなかったようなミスが実はちょこちょこあって、このあたりがCDで聴いても完璧なGavrylyukとの違いかもしれない。ただ音楽センス(特に歌のセンス)はGavrylyukより上をいくものがあり、あれだけの才能だからきっとそのうち頭角を現すだろう。
ちなみに本選はネットで聴く予定だが、感想を書くかは未定である。 inserted by FC2 system