会場は例年通りオペラシティ。 このところ音コンの人気が高まっているのか(?)前売り券は完売。私も本選に行こうと決めたときは前売り指定席はすでに売り切れで、しかたなく前売り自由席を買ったが、当日券を買うために長蛇の列に並ばなくて済んだだけマシだったか。(実は当日の指定席券もあったみたいだが。) 音コンも人気のあるピアノ部門だけは(ヴァイオリンも?)以前のようにキャパの大きい池袋芸術劇場でやってくれればいいのにと強く思う。(開場時間に行っても余裕で当日券が買え、しかもそこそこの席がとれた芸劇時代がなつかしい。)
以下、本選の全演奏の感想を(番号は予選時での出場者番号)。 ちなみに聴いた席は1階の後ろから3列目、中央やや左側である。
208.
Liszt: ピアノ協奏曲第2番
座席が後ろの方だっただけに、よく通る音を出せるかどうかも試されると思っていたが、その点は十分。音がよく響いており、特に低音部は充実している。
ただ高音部の細かい走句についてはもう少し1音1音が粒立ちよく、キラキラと輝いていればさらによかったか。
また前半のAllegro agitato assai - un poco piu mossoでピアノがfffで入ってくるところがオケと少しずれた感じになったのは惜しかった。
終盤のAllegro animatoからStrettaでの技巧的な部分も、もう少しキレが欲しかった気がする。
というわけで全体的にはまずまずだが、1位になるほでではないかなという印象。
156.
Chopin:ピアノ協奏曲第1番
全体的にアゴーギクが少なめで、歌い方も控えめ。音も彫りが浅いというか、やや表面的に聞こえる感じ(これは3次でも思ったことだが)。
第1楽章の技巧的な部分では、その軽めの音がちょっと物足りなさを感じさせる。
第2楽章では、綿でくるんだような音を使っており、それはそれでよいのだけれど、ときにはガツンとした音も欲しくなる。
終楽章も、細かい音型がもう少しクリアに聞こえてくれればよいのだが、この席ではそれは無理な注文なのか。
というわけで全体的にはそれほど悪くはないのだが、印象に残るというほどでもない。
192.
Prokofiev: ピアノ協奏曲第2番
全体的に速めのテンポで、オーソドックスというか、すっきりと端正な演奏。
第2楽章では出だしでピアノがちょっと先に飛び出した感じもあったが、それ以外はとくにこれといった目立つミスもなく、よい意味でよくまとまっていた。
完成度の高い演奏と言えそう。
これまで聴いた中では文句なしで一番。
209.
Grieg: ピアノ協奏曲イ短調
実はこの曲はあまりちゃんと聴いたことがないので細かいことは言えないのだが、音は十分に出ており、悪くない。
ただ全体的に力で押す感じがあったので、さらに抒情的な部分をうまく使ってコントラストを出していけばよかったかもしれない。
***
というわけで本選の全演奏を聴き終わった。 今日一番良いと思ったのは、上にも書いた通りProkofievを弾いた192番。あとの3人はほぼ横並び状態。強いて順番をつければ208、209、156の順か。
そして実際の審査結果は、以下の通り。
1位 192と208
3位 156
入選 209
聴衆賞 192
1位が2人だったのは少し驚いた(今までそういうことはあったかな?)。192が1位なのはわかるが、208も審査員には高評価だったようだ。(あるいは3次の得点が高かったのかも。)
Prokofievの2番というあまりポピュラーとは思えない曲にもかかわらず聴衆賞も取ったところを見ると、よほどインパクトのある演奏だったようである。
個人的には上にも書いたように端正で整った演奏という印象だったが。