リスト 「ランメルモールのルチア」の回想S.397(ドニゼッティ)
- ブレンデル(Vox>)(5:30)○
ジャケット→
音は悪い(録音は古そう)が、技術的に安定している。
前半の、スタカート和音の伴奏(原曲では弦のピチカート)をバックに歌う部分では、伴奏と旋律の弾き分けがまずまず(ここは音域が重なるため渾然一体となりがち)。
後半での32分音符やトリルの細かい急速なパッセージも、速めのテンポにもかかわらず(派手さはないが)非常に安定している。
前半部分でもうちょっと歌があってもよいと思うが、あまりアゴーギクをつけずに端正に歌っていると言えるかも。
最大の問題はやはり音質か。
- ボレット(Palexa<70>)(6:18)○-△
歌という点では(手元のCDでは)この演奏が一番か。
前半部分はスタカート伴奏と旋律の弾き分けが上手い。
ただしテンポがちょっと遅過ぎ(原曲よりかなり遅い)で、少しかったるい感があるのは否めない(このテンポだから余裕を持って歌えるのかも)。
アゴーギクや強弱のつけ方、音色の変化など歌いっぷりも堂に入っていて、ここらへんはお手のものといった感じである。
後半はテンポの遅さは気にならず、32分音符やトリルの素速い動きを目立たせて、いわゆる「聴かせる」ツボを心得ている。
ライブであれば拍手喝采が目に浮かぶような演奏。
- ハワード(Hyperion<89>)(4:40)△
テンポがかなり速いが、その分雑っぽいというか多少ドタバタした感じ。
速いテンポのためか前半の伴奏と歌の分離ももうひとつ。
テンポの安定性もやや欠ける。
後半のトリルが頻出する部分では、テンポが速いためにトリルが短くなってしまって、この曲のよいところ(見せ場)があまり出ていない感がある。
ちょっとせわしない感じ。
もう少しテンポを落としても、きっちりと(きっちり弾けるか問題だが)歌った方がよいのではなかろうか。
- M.ソウチェク(ORF<95>)(6:00)△
前半のスタカート伴奏と旋律の分離の悪さが気になる。
音色もやや単調で、いわゆるsinging toneのようなものが欲しいところ。
後半はトリルや32分音符の細かい動きの粒立ちが明晰でよいのだが、逆に和音による旋律の方があまり歌になっていない(アゴーギクがイマイチ)。
若くしてこの曲を手がけるというのはなかなかよいセンスをしていると思う(^^)のだが、全体的に硬い感じである。
もっと流暢さが欲しいところ。
- T.Smith(Musicians Showcase<99>)(6:22)△
前半部分はやはり伴奏と歌の分離がもうひとつ。
(これでは初めて聴いた人は旋律がどれかよくわからないかも。)
流れもかなりぎこちなく、この部分は難しいのだなというのが素人にも容易にわかってしまうような演奏。
また旋律部分でレガート指定に反してスタカートのように弾いているところがあるのも気になる(marcato指定のところ。彼の解釈か、あるいは技術的問題か?)。
後半の細かい動き主体の部分は悪くないが、旋律の方で和音をくずしてアルペジオで弾いているのが違和感がある(特にアクセント記号のついた和音。届かないはずはないので彼の趣味だろうが)。
未記入盤
- J.ハット(CACD<2004>)(6:07)(ブログ記事)
- ブロッホ(accord<88>)(6:00)(ブログ記事)
- ウォルフラム(Naxos<2006>)(5:04)◎(ブログ記事)
- ヘゲドゥシュ(Hungaroton<93>)(5:50)(ブログ記事)
- Gallo(quartz<2012>)(5:57)
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