ヴァイン/ピアノソナタ(1990)
- ババヤン(Pro Piano<97>)(7:48/7:08)◎ ジャケット→
抒情性とダイナミズムに溢れ、コク・キレともに素晴らしい。
第1楽章の急速部や第2楽章は
作曲者指定のテンポよりかなり速めであるが(ちなみにスコアにはテンポ指定は"not suggestions but indications of absolute speed"とわざわざ断り書きがある)、それがより一層のスピード感とピアニスティックな魅力を引き出している。
特に第2楽章の左手の16分音符のキレは秀逸で、この部分に限らず、最初にこの盤を聴きなれてしまうと普通の演奏がヌルく感じられてしまうかも。(併録のリゲティのMusica Ricercata第7番のオスティナート音型のキレも同様に印象的。)
作曲者の指示には必ずしも忠実ではないが、それを超越する魅力があり、例によって「作曲者がその曲の最良の解釈者であるとは限らない」というグールドの言葉を思い出してしまう。
- Harvey(Tall Poppies<91>)(8:18/8:48)○
この曲の献呈者による演奏ということで、(作曲者の考える)この曲のあるべき姿を忠実に再現している(と考えられる)。
演奏はババヤン盤ほどのインパクトはないが誠実かつ技術的にも安定しており、正統的な解釈を知るためにも持っていて損はない。
(むしろリファレンス盤としてはこちらの方がふさわしいかも。)
ついでにヴァインの他の室内楽も併録されており、この曲以外の彼の作風も知ることができる。
- タラソフ/コミナティ(ABC<96>L)(8:51/7:52)○
'96年シドニー国際コンクールライヴ。
コンクールの演奏の中から良いものを任意に選んで収録するというハイライトCDのため、第1楽章と第2楽章が別の奏者という変則的な盤となっている。
(ちなみにこの曲が課題曲になっていた。)
演奏はやはりババヤン盤と比べると全体的にやや大人しい(というか、むしろこれが普通だろう)。特にコミナティによる第2楽章がやや抑え気味の表現で、キレキレのババヤン盤と比べると出だしなどは別の曲に聴こえるくらい(と言ったら言い過ぎか)。
ちなみにこのときはタラソフが第1位、コミナティが第3位(高雄君が第2位)。
未記入盤
- J.ヤング(HMF<2005>L)(8:29/8:43)2005年ヴァン・クライバーンコンクールライヴ(ブログ記事)
- キム・ヒョンジョン(<2009>L)2009年浜松国際ピアノコンクールライヴ(ブログ記事)
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